完全閉鎖型人工光によるメロンの育成について
■現状
昨年9月より完全閉鎖型人工光植物工場にて、メロンの育成に関する実験を進めてまいりました。
しかし、弊社の所有する縦型水耕ユニットにおいて、メロンの実を肥大化させるのに重要な根の成長が十分に行えないことから、縦型による実験を断念し、横型DFT方式による実験に切り替えましたことをご報告致します。
■横型DFTユニットについて
表題のユニットについて、一般的なDFT方式と大きな違いはございません。ただし、給排水システムについては、「根を成長させる」「甘いメロンを育てる」この目標を達成するべく、独自開発したものになります。現在24.8.15に定植した試験体について、順調に育成が進んでおります。茎の太さは従来の約2倍程度になりました。
課題であった根の成長に関しましても、定植後12日目にして縦型水耕にて子つる第20節まで成長させたものと比較して、量的に超えていることを確認いたしました。根の太さに関しましても、茎と同様、これまでの実験ではみられないほど太い根が育っております。
■新処方GAM13液体肥料について
現在横型DFTユニットにて育成しております試験体は、弊社が開発しましたメロン専用処方GAM13液体肥料の試験体でもあります。
GAM13はある程度の汎用性も持ち合わせており、縦型ユニットにていちご、ミニトマトの試験栽培を行っております。メロンの成長については上記の通り、非常に高い効果を示しております。特徴としては以下の通りです。
1.根の成長、効率的な光合成を助ける成分バランス
メロンにとって根の量は非常に重要です。人工授粉を行い実が成長しても、肥大化は途中で止まってしまいます。そのため、GAM13は根の成長、また光合成を促進するリン酸の含有率を高めています。また、人工光により一年中メロンの育成が可能である弊社設備を利用し、一年間で約50パターンを超える液体肥料の実験を行い、最適な微量元素割合をつくり出しました。ただし、成分含有量に関しまして、大切にしておりますのは「植物の負担にならない」点にあります。植物が安心して育てる、たくさん栄養を吸収してくれる、そんな液体肥料がGAM13です。
2.高いPH安定度
水耕栽培の養液を管理する上で、特に重要になるのが濃度(EC値)とPH(酸性度)です(他に塩分濃度など)。植物は蒸散することで根から水分、栄養分を吸収します。水耕栽培においては濃度は常に変化し、またPHも変化します。
PHは通常(6.0~6.5)の範囲で調整されますが、多くはアルカリ性に偏り、またメロンに関しては酸性に偏ることで、通常値から外れてきます。通常値から外れますと、根からの吸収率が低下していきます。また、アルカリに大きく偏ってしまうと液体肥料の成分が結晶化し、根から吸収できなくなってしまいます。微量元素の中で大きな割合を占める鉄(キレート鉄)も効力を失ってしまいます。
※植物、肥料の成分により吸収率がピークに達するPHは異なります。
水耕栽培では養液のPHを正常に保つことが非常に重要となり、手動または自動でPHダウン剤やアップ剤を投与します。
しかしGAM13はPH調整剤がなくとも高いPH安定度を誇ります。市販されている液体肥料でメロンを育てますと24時間の間に平均してPH6.5→5.7程度の変化があります(成長度合いや株数により変化します)。一方GAM13を使用した場合、48時間経過してもPH6.3→6.4の変化しかありません。高価なPH調整機がなくとも安心して水質を保つことができるのがGAM13の大きな特徴です
■さいごに
弊社はメロンの水耕栽培にこだわって実験を繰り返しております。空き部屋を利用してできるような小さなユニットで大量のメロンを生産する技術開発がもうすぐ完成いたします。施設のご見学、液体肥料に関するお問い合わせをお待ちしております。
また、メロンに限らず水耕栽培に興味をお持ちの法人さま、個人さまへオンライン・ご訪問にてご相談を受け付けております。こちらもお気軽にお問い合わせください。
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